一番大切なもの

30年前までは、「命」がトップでした。1977年の日本赤軍派によるダッカ日航機ハイジャック事件で、人質解放のために日本政府の取った対応が「人命第一」でした。当時の首相福田赳夫の「人の命は地球よりも重い」という言葉は有名になりました。
しかし、莫大な身代金をテロ組織に払ったため、「日本はテロを世界に輸出する国」と国際非難を受け、「地球よりも重い」という言葉も無根拠で空虚な標語だと批判され、流行語のように消えていきました。
1997年、14歳の少年による児童殺害事件(サカキバラ事件)が起こったとき、「人の命はなぜ尊いのか」で、多くの知識人、教育者などが大議論を展開しました。しかし、「泰山鳴動して、鼠一匹」で、国民の大多数の人を納得させる答えはありませんでした。その頃には、「命」は大切なものの第3位に転落しています。換わって「家族」がトップに上がり、そして「健康」「自分(命を含む)」「心、愛情」を挙げる人が増えていきました。
では、現在はどうか。サイトでいくつかの統計を調べてみたところ、だいたい家族(子供)、自分、命、健康、恋人・友人・知人とのコミュニケーション(愛情)、お金(財産)、平凡な生活、自由なくつろぎの時間、ペット・・といった順でした。
ばっさり切るのは心苦しいですが、それらはかないものばかりです。日本人の幸せは非常に脆いものの上に乗っかっているのです。東北の震災を考えるだけでもわかります。
星野富広さんの有名な詩です。「いのちがいちばんだと思っていたころ/生きるのが苦しかった/いのちより大切なものがあると知った日/生きているのが嬉しかった」。「いのち」のところに「自分」「健康」「家族」「お金」などを入れて読んでみてください。そして、「いのちより大切なもの」とは何かを考えてみてください、クリスマスとは、その大切なものを知る日、また確認する日です。
それはキリスト・イエスです。「永遠のいのち」で自分や家族や友人を生かしてくださる方です。