手を鋤につけてから後ろを見る

するとイエスは彼に言われた。「だれでも、手を鋤につけてから、後ろを見る者は、神の国にふさわしくありません。」(ルカ 9章62節)
今年のイスラエル旅行で、エルサレム郊外の山地(やまち)にある古代の段々畑を連れて行ってもらいました。現在は放置され荒れ放題で、説明を受けるとそれらしいと分かるぐらいです。むしろその周辺に生えていたアーモンドの木の花と前年の実が、旅行参加者には印象が残ったかもしれません。
イスラエルの段々畑は、痩せた傾斜地を階段状の耕作地にしたものです。土が薄いので、雨が土砂降りになると、一度に流れてしまいます。
秋になると、「先の雨」が降ります。乾期で乾き切り固まってしまった石灰岩質の土壌が少し柔らくなりますが、手作業で耕すのは、容易なことではありません。鋤を用います。鋤は、自然に曲がって育った木などを利用して作り、先端には鉄を取り付けます。
鋤は、牛に引かせます。人は利き手で鋤を地面に向けて押し、もう一方の手で鋤く方向を真っ直ぐに固定します。あとは牛の力に任せます。とはいえ、集中しなければなりません。ちょっとよそ見したら、進行方向からずれてしまいます。ましてや、後ろを振り返りなどすれば、鋤はとんでもない方向に逸(そ)れ、ひっくり返ることになります。
さて、私たちは、主イエスを信じて神の国に入ったのですから、もう後ろを顧みないようにしようではありませんか。救いの恵みに生きようと決めたのなら、キリストに従いとおしましょう。祝福を受けたのですから、祝福することを喜びとしましょう。心に決めて始めた正しいことは、その時その場の感情に左右されず、最後までやり遂げましょう。聖霊が私たちの力となり、助けとなり、引っ張ってくださいます。
疲れたなら、いったん休めばいいのです。失敗したなら、改めて方向を戻して再開しましょう。それが悔い改めです。最後まで、掘り起こしましょう。よく耕された「良い地」は、多くの実を結びます。