あかしあの木ひろば

今から30年前、エジプトのカイロからシナイ半島を一日かけてバスで南下し、シナイ山に登ったことがあります。そして、アカバ湾に沿って北上し、イスラエルのエラートに入りました。初めてのシナイの旅でした。
 シナイ半島は、岩山と岩の荒野が続く荒漠たる地でしたが、それでも、ところどころに大小の灌木が見られました。アカシアの木です。聖書には、出エジプトしたイスラエルが「契約の箱」の材料として使った木として登場します。日本のアカシアとされる緑鮮やかで縦長の樹木とはちょっとイメージが異なります。
 シナイやイスラエルの荒野で見るアカシアは、枝が横広に群がり、葉も茶けたような緑です。しかし、乾燥地にゆるぎなく立つ姿には不思議な生命力が感じられます。地下深く10メートルほど根を伸ばして水を吸い上げ、幹を支えているのだそうです。
 多少の木陰は提供できても、建物の柱や板になるような木には見えません。シナイ半島で見たアカシアは背が低く、あれで「契約の箱」を作る板がとれるのだろうかといぶかった記憶があります。それでも、荒野にあって、主なる神がイスラエルとともにおられるという契約のしるしとなった「契約の箱」(「神の箱」とも呼ばれる)の材料を用意したと、聖書にあります。
 その箱の中には、十戒の石板、マナの壺、アロンの杖が収められました。この三つは、主がイスラエルの間に偉大なわざをなされたことを思い起こさせる記念の品です。また、今後もイスラエルを「契約の民」として導き、慈しみ、偉大なわざをもって守られる保証でもありました。
 ところで、今年6月、「あかしあの木ひろば」という出版社を発足させました。荒野の時代でも、深い「地下水脈」に根を届かせ、主のしるしとなるようなものを提供したいと願ってのことです。
 その第一弾として、『三つのテーマで読む聖書』を出版しました。そして、今年中には、幼児から小学低学年のデボーションノート「ハニーノート」を創世記から刊行していきます。GCCの十数名の方々が長い間作り上げてきた、絵(イラスト)付きのノートです。こうした印刷物を発行するとともに、聖書やイスラエル関連の情報や知識、現代社会の問題を取り上げるサイトを立ち上げる予定です。