ファクトフルネス(続)

■続・『ファクトフルネス』クイズ  先週の『ファクトフルネス』のクイズはいかがでしたか。14か国12000人の平均正解数は12問中2問だったそうです。大学教授、多国籍企業の役員、ジャーナリスト、科学者、ノーベル賞受賞者などは、その平均を下回りました。著者ロスリングは、高学歴者だから世界の事実を知っているわけではない、と述べています。  この結果から、次のことがわかります。 ①数十年前の古い情報のまま、アップデート(更新)されていない。 ②思い込みやイメージで判断する ③昔より状況は改善しているが、幸福感はない  しかし、著者の言いたいことは、別の所にあります。著者が講演会で、聴衆に客観的な数字を示し、事実はこうなのだと解説しても、その場を離れると「以前の物の見方」に戻ってしまう人が多いそうです。人はなかなか固定観念を壊せません。そのために、社会の今の現実や変化に即した判断ができないのです。  たとえば、最近、衝撃的な交通事故が頻繁に報道されますが、事故死者数は増えているかというと、毎年減り続け、25年前の3分の1です。また、イスラエルは紛争やテロの国というイメージがありますが、実際は、テロや暴力、犯罪での死者よりも、自殺者の方がはるかに多いのです(『未来を読む』Y.H.ハラリ)。他の国々と同じです。  私たちも、聖書に記された真理に基づく世界の見方よりも、自分の過去の経験や世の影響を受けて固まった見方で考え、判断し、行動してしまいがちです。  神の国の教えを聞いて喜んで受け入れても、世に出ればすぐに忘れて、世の価値観で考え、判断してしまうなら、主イエスが言われる『岩地に蒔かれた種』と同じです(マタイ13:20)。「真のいのち」よりも「肉の欲望」を第一優先にする生き方は、容易に変わらないのです。聖書が、忍耐と寛容、柔和と謙遜を教えても、結局は、学歴、能力、お金、容姿で、自分をも他人をも評価してしまいます。   「大事なのは新しい創造です」(ガラテヤ6:15)。キリスト信仰とは「新しく生まれる」ことです。すでに私たちは「新しい物の見方」を、恵みとして受けているのです。