尾崎豊からキリストへ

ロック歌手の尾崎豊さんが、26歳の若さで亡くなってから、もうすぐ30年が経ちます。

学歴社会、落ちこぼれのレッテル、大人への不信感、自由とは何か、愛とは何なのか・・・”俺たちの代弁者”として、揺れ動く10代の敏感な心情を歌い、当時の若者から熱烈な支持を得ていました。その一つ、「卒業」という曲の歌詞に影響を受けた高校生たちによって、校舎の窓ガラスが割られる事件が多発し、社会問題になったこともありました。それほどその歌は影響力を持っていました。

30年前、15歳だった私も彼の歌に心奪われていたひとりでした。

 「何のために生きてるのかわからなくなるよ」(『17歳の地図』)、「いつになれば俺はたどり着けるだろう」(『シェリー』)、「自分の存在が何なのかさえ解らず震えている15の夜」(『15の夜』)、「愛に飢え 心は渇き ふらつき回るよ」(『街の風景』)。尾崎豊の書く詩の世界に自己投影し、同じ気持ちの仲間たちがたくさんいると思うと、それだけで安心できていました。

当時の私は自分探しに翻弄され、生きる目的も知らず、いつも心を震わせているだけでした。やがて世の中と歩調を合わせることを覚え、大人になるにつれ、心の震えは感じなくなってしまいました。

 しかし、神様はこのような私を憐れみ、「私のために生きよ」「恵みの御座にたどり着け」と、再び心に飢え渇きの震えを与え、途方に暮れていた私をイエスさまの十字架のもとへと導いてくださいました。心が震えるとき、神様は私に自分の弱さを見させてくださいます。

 今日、様々な苦難の中にあり、弱さを覚えている兄弟姉妹たちのために、教会の皆さんと共に祈っていきたいと思います。そして、昔の私のように自分の存在が解らず、魂がふらつき、愛に飢え渇いている方たちが、ひとりでも多くイエスさまの十字架のもとへ導かれますように、祈っていきたいと思います。(根本一生)