「時」を逃さない

我が家には、昨年秋に息子が学校の森から持ち帰った幼虫が4匹います(名前は全員「ヨウヨウ」)。虫が大の苦手な私も徐々に見慣れていき、何か異変がないか、毎朝飼育ケースを見ています(笑)。

季節は冬、春となり、冬眠していた幼虫が土の上に出てくるようになりました。そろそろ土の交換をせねばと思いながらも、日常の忙しさで後回しに・・・そうする内にケースからパキパキ奇妙な音が聞こえ始めたのです。観察すると、なんと幼虫が蛹室(ようしつ)(サナギの間じっとしているための部屋)を作るために動き回り、土を掘る途中でケースにぶつかったり、かじったりして音を出していたのです。

通常、幼虫は5月頃にサナギになり始め、土交換は行わないよう勧められています。蛹室を壊してしまうとサナギがうまく成虫になれないからです。最もデリケートな時期で、注意が必要でした。

何しろ、初めての幼虫の飼育。いつ頃、何をするのかを息子と調べていましたが、まだ大丈夫だろうと油断し、土交換を怠っていました。ところが、すでに蛹室らしきものがあるのを見つけたのです。やむを得ず、そこは触らずに、少しだけ土を入れ替えました。

時を逃したのです。もっと早く最後の土交換をし、蛹室作りに適した状況を作ってやればよかったと、後悔、反省しきりです。

私たちには、それぞれ神さまから託された人がいて、そして「時」があります。その方たちの心身の状態に注意を払い、折にかなった言葉をかけ、時を逃さずに福音をしっかりと伝えるよう聖書は私たちに教えています。あの時に伝えれば良かったという後悔はしたくありません。普段からその方たちのことを気にかけ、祈り、時機をうかがうことが大事です。

私にもそのように、気にかけ、祈り、機会あるごとに福音を伝えてくれた人がいました。終わりの時は必ず来ます。その時、戸は閉ざされ、もはや誰も潜り込むことはできません。

ところで、息子はヨウヨウはカブトムシだと言っています。定かではありません。巨大カミキリムシでは、と言う人も。主の憐れみで順調にいけば、夏には成虫になります。一体何が出てくるのか。ドキドキです。(江口知子)