福井県はユダヤ式教育か

今週も、藤吉雅春著『福井モデル』(文春文庫2018)から。
北陸三県と秋田県は、小中学の全国学力調査で毎年上位を独占しています。特に福井と秋田は、例年1、2位を争っています。福井は塾に通う子供の割合は全国平均より低く、事前のテスト対策もしていません。なのに成績がトップなのは、「やっぱり日々の授業の力」なのです。そう証言する教師自身、小中学校の時代の授業は面白かったようで、高校に入ったら「授業って、こんなにつまらないの?」と驚いたといいます。なぜか。教師は延々としゃべり、生徒はノートをとるだけだからです。そして、教師は教えれば、生徒は理解したと思い込んでいるのです。
藤吉氏によれば、福井県(越前)は、戦国時代、信長に「一向一揆」を鎮圧されたことから、浄土真宗(一向宗)の信仰を守るため、説法を聞いて語り合い、学ぶという習慣ができ、江戸時代も人材教育に力を入れるようになったそうです。「何もないから頭を使って生き抜く。武器は教育であり、学校は生きるための準備をする場だった」(p252)のです。「生きるため」ですから、自発的で実践的で協力的な学びになります。
それは、常に迫害され生存の危機にあったユダヤ人が、実践的な教育に力を入れたのと似ています。藤吉氏も、福井の教育法は、ナチスによってベルリン大学を追放された、ユダヤ人クルト・レビンの学習方法に通じると言っています。
レビンの「平均学習定着率」によると、講義を一方通行で聴くだけでは定着率は5%、自らテキストも読めば10%、視覚と聴覚を通じて学べば20%、実演や実験証明を伴えば30%、グループで語り合えば50%、自ら体験すれば75%、そして他の人に教えれば90%にまで跳ね上がるというのです。
また福井の学校では、宿題に熱心です。宿題は倣ったことの復習です。要するに、反復、繰り返しです。勤勉たれ、ということです。これも、繰り返し唱えて、心に刻み込みなさい(申命記6:6)というユダヤの学習方法と共通しています。
福井の学習法は、期せずしてユダヤ的です。GCCは意図的にユダヤの学習方法を取り入れます。