もったいないが間違える

  「コンコルドの誤り」という言葉を日経新聞で知りました(61005夕)。せっかく今まで膨大な投資をしたのだから、途中で止めるのは「もったいない」と過去に執着した結果、失敗して損害を増やすことをいうそうです。コンコルドは1962年に開発が始まったものの、大幅に遅れ、費用も予算をはるかに超えました。途中で「中止した方が損失額は軽微で済む」との結論が出ましたが、さらに膨大な資金が追加投入され、やっと69年に完成することはしました。しかし、採算ラインの250機にははるか及ばぬ16機しか売れませんでした。莫大な資金を投入したので「もったいない」、プライドを守るために止められないという発想で、結局、傷を深めてしまったわけです。

間違っていたことに気付いても、きっぱり見切りをつけて、新しく始め直すことはけっこう難しいものです。多くの時間をかけ、労力と資金を注いできたことであれば、なおさらです。でも、見極めをなし、勇気を持って決断することは、致命的な結果をもたらさないためにとても重要です(夏キャンプの鳥海山登山でも、引き返す勇気を試されました)。

パウロは、律法を深く学び、人に非難されるところがないほど完璧に律法を守り、パリサイ派の中でも地歩を得ていましたが、復活のキリストに出会い、大嫌いだったはずのキリストこそ救い主とわかってからは、180度の大転換をしました。キリスト以外のことは知らない決心をし、過去の努力、功績、知識、地位の一切を損、「チリやフン」のように思うと言い切りました。過去をもったいないと振り返る心残りはありません。

見切りをつけるのが中途半端なために、ロトの妻のようにソドムを振り返ってはいけません。過去を引きずって走り続ければ、必ず後ろを振り返って、「塩の柱」になってしまいます。過去の投資を「もったいない」という考えるのは止め、ひたすら前に向かって走りましょう。