私の知り合いの牧師の母親は、70歳を過ぎて認知症になり、息子の顔もわからない状態になりましたが、1年後に奇跡的に回復し、まったく正常になりました。私は、息子である牧師からも母親本人からも直接証言を聞き、彼女自慢の手作り「塩辛」の饗応を受けました。10数年前の話です。
今、認知症は回復しない、という常識が覆されつつあります。先日、NHKテレビで、認知症の98歳の婦人が、一桁の単純な足し算の計算や音読を毎日繰り返すことによって、次第に脳機能が回復し、家族に葉書も書けるようになっていくというドキュメント番組を見ました。彼女は鬱病でもあり、「死なせてください」と繰り返していましたが、その思いも消え、前向きな考え方になり、100歳を越えてから英語も学ぶほどになりました。他にも、脳梗塞の結果、脳機能が低下していた人などが回復していくさまも紹介されていました(なぜか4人とも女性でしたが)。
要は、脳の司令塔である前頭前野にあるそうです。それは、?表情や声から人の気持ちを推測する。?ものを覚えようとする意欲を生み出す?やる気や挑戦する気持ちを生み出す?感情を抑制、道徳的自制をする?ひらめきや発想を導く?一つのことに集中する?いくつかのことを同時に行う、などの働きを司っています。認知症や鬱病の人は、その部分の機能や血流が低下しているのです。それが、単純計算(複雑な数学の計算は効果なし)や音読で活性化いくのだ、ということでした。
人間の脳は年取っても活性化します。もう年で覚えられないというのは、そうしたくないことの言い訳なのかもしれません。私は皆さんに御言葉の暗誦と音読を勧めていますが、最初は辛かったけれど、不思議と覚えられるようになってきたという中高年の声を聞いています。御言葉の暗誦と音読、声を出しての祈りと賛美は、主に喜ばれ、自分の霊性を引き上げるだけでなく、頭も研ぎ澄まします(そうしなければ、若い人でもさび付きますよ)。