北京オリンピック真っ只中です。オリンピックはさまざまな人間模様を見せてくれますね。その中から、私の心に残った二人を記します。
まずは、二大会連続二冠に輝いた平泳ぎの北島康介。100mの準決勝では、ダーレ・オーエンが好記録を出し、北島は2位でした。決勝では、前半からトップに立とうと、力が入るところです。しかし、平井コーチのアドバイスは「勇気を持ってゆっくり行け」でした。後半に力を温存するためでした。それに従い、北島は、100mを同じ泳ぎ、同じリズムで泳ぐように心がけました。準決勝の前半50mよりも、ストローク(水をかく)数が3つも減りましたが、滑らかに体が進んでトップで折り返し、結果はダントツの世界新でした。
周囲の人が勢いに乗って先を走ると、自分も遅れまいと力が入るものです。でも、自分のペースを保ち、ゆっくり行く勇気を持つことが大切ですね。余計な力が抜けます。信仰生活もそうです。「勇気を持って、主にゆだねよ」です。「心を尽くして主に拠り頼め。自分の悟りに頼るな」(箴言3・5)という言葉に従いましょう。
もう一人は体操の内村航平です。個人総合で、あん馬で2度落ちて、24人中23位になりながら、そこから奇跡の逆転銀メダルを獲得した不屈の心は特筆すべきです。でも、記したいのは、母親が語った彼の幼い頃の話です。体操の練習をしていないときは、テレビも見ずに人形遊びに夢中なり、母親が声かけても返事もしなかったそうです。人形で何をしていたのか。体操で空中を跳ぶ自分の姿をイメージしていたのです。こういう姿勢で、このように回転して、着地したいという、イメージトレーニングです。
イメージトレーニングは大切です。私たちも、「神の作品であり、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られた」(エペソ2・10)者として、良い行いをしている場面の自分を日々イメージすべきです。怒り、悲しみ、失敗し、罪を犯している自分をイメージしてはなりません。神の作品である自分が、家庭や学校や職場で、主に喜ばれる言葉を口にし、人を励まし、良い行いをしている自分を想像しましょう。想像は創造です。