「アルツハイマー初期の母と」100131

先週は帰省し、初期のアルツハイマーと診断されている82歳の母に同伴して、担当医師と面談しました。母は自分は正常であることを証明しようと、前日から、歴代首相の名前などの暗記し、診断テストに備えていました(準備しても無関係ですが)。

 医師によれば、母は数分前の記憶が欠落するだけで、他はまったく正常とのこと。4桁の数字を告げ、それをうしろから言い直させても、驚くほどさっと正解が言えます。

 実は、母には年末年始を境に大きな変化がありました。昨年は、毎日のように、財布がない、お金がない、印鑑がない、通帳がない、盗まれたと、私に電話をかけてきました。パニック状態で、一日数回に及ぶこともありました。ところが、今年に入って、それがぴたりと止んだのです。私の方から毎日のように電話をしても、「すべてある。困ったことは何もない」との返事です。逆に気味悪く心配になりました。ヘルパーさんに確認すると、本当に落ち着いているとのことでした。

 医師にその旨告げると、「縮んだ脳は元には戻らないが、進行を食い止め、記憶を補うこと、あたかも記憶力があるかのように思われる状態?を作り出すこと、は可能である。そして、何がその変化をもたらしたのかを探り出すのが家族の務めだ」とのことでした。

 で、思い当たったのは三つです。一つは年末から猫を飼い始めたこと。母は猫を相手にしょっちゅう話しかけ、面倒を見てやっていました。二つ目は、お金の置き場所を、泥棒が入っても絶対わからないが、自分にはわかりやすい所に変えたこと。それが安心感を与えたのでしょう。昨年までは、あちこちに隠しては忘れていました。三つめは、何度も意識的に声に出して復唱すること。母は刺激的な出来事だけはしっかり覚えていて、私に話すのです。何度も聞かされますが。つまり、語りかける相手、安心感、復唱です。
これはアルツハイマーではなくても、私たちにも必要なこと、要するに毎日のデボーションですね。