アシジのフランチェスコの人生を描いた映画『ブラザーサン、シスタームーン』を、ぜひ一度はDVDでごらんなさることをお勧めします。彼の清らかな生き方と美しい風景を見ているだけで、心が洗われるような思いになります。
フランチェスコは何をしたのか。別段、大それたことをしようとしたわけではありません。ただ、キリストの言葉を真正面から受けとめ、そのまま生きようとしただけです。
「旅のためには、杖一本のほかは、何も持って行ってはいけません。パンも、袋も、胴巻に金も持って行ってはいけません」(マルコ6・8)
この主の言葉通り、福音を伝えるために、まさしく何ももたない生き方をしました。きわめてシンプルな生活に徹したのです。もともとは裕福な染物商人の息子でしたが、財産も地位も息子としての権利もすべて捨てました。何も所有しないので、失うものが何もなくなったのです。しかも、彼は学識も本を読む必要もないと言い切りました。必要なのは、ただ神の言葉だけだということです。
でも、実際にこんな人物が教会にいたら、どうでしょう。居心地いいですか。私たちクリスチャンはできるだけ所有物を少なくして生きていますが、彼の場合は桁が違います。フランチェスコの姿を見るたびに、御言葉に生き切れない自分が惨めに思えるかもしれません。私は、家と服と食物があることは勘弁してもらうとしても、車、ケータイ、パソコン、財布、お菓子、書籍のひとつひとつに、なんとなく後ろめたさを感じ、弁解ばかりすることになるでしょう。
物に支配されないために、また不要なものを所有しない(あるいは手放す)ために、プライドや見栄をそぎ落とすために、年に一度は見るといい映画です。一つの御言葉にあきれるほど忠実に従うなら、主の奇跡が起こることを確信させます。