1972年9月ミュンヘンオリンピック開催中、パレスチナ・テロ組織がイスラエル選手村を襲い、イスラエル選手11人を虐殺するという事件が起こりました。当時のIOC会長アベリー・ブランデージ会長は反ユダヤ主義者で、競技を中止させることもなく、追悼式で死亡したユダヤ人選手に哀悼の意を表することもありませんでした。
あれから40年、イスラエルは今回のオリンピック開会式で、黙祷の時間を要請していましたが、アラブ諸国の反対で実現できませんでした。かわりに選手村で開かれた記念式典も、参加者は少なく、注目されることはありませんでした。
英国BBC放送などは、ホームページのオリンピックコーナーの各国プロフィールで、パレスチナの首都を東エルサレムと記載し、イスラエルの首都を白紙としていました。イスラエル政府が抗議して、イスラエルの「政府機関所在地」エルサレムと記載されたそうです。ただ、7月18日、ブルガリアでイスラエル人5人が死亡するテロが発生したこともあって、英国政府は治安部隊を増強し、イスラエルとも協力して、厳戒態勢で選手たちを守っているそうです(YI報告7・27)。
イスラエル民族は二千年以上にわたる苦難の歴史を負っています。キリスト殺しの汚名を着せられ、不当な中傷、デマ、差別、財産没収、追放、大量虐殺の悲劇を味わってきました。そして今日も、イスラエル(ユダヤ)人に対する誤解、中傷の手口、反感は変わっていません。これは、神と永遠の契約を結んだ「神の選びの民」であるがゆえに背負わされている苦しみであり役割です。彼らの「神の賜物と召命とは変わることはありません」(ロマ11・29)とあるとおりです。
それゆえ、もう一つの「神の選びの民」である異邦人(非ユダヤ人)教会は、兄弟であるユダヤ人の役割と歴史を理解し、彼らの救いと平和のために祈る義務があります(ロマ11章)。二つの「神の民」がキリストによって一つにされ(エペソ2章)、世界中に福音が伝えられることによって、「終わりの日」が来るからです。毎月のハイナイトはそのための集会です。次回は9月8日です。