今年もバレンタインデー(St. Valentine’s Day)が近づいてきました。今回はその由来についてお話しします。
AD269年、ローマ帝国の迫害の中で殉教したヴァレンティアヌスの話が起源になっています。当時のローマ皇帝クラウディウス2世は、兵士が妻を家に残して出征すると、士気が下がる恐れがあるという理由で、ローマ兵の結婚を禁止していました。しかし、司祭であったヴァレンティアヌスは極秘に兵士を結婚させ、それが発覚して捕えられました。そして、ローマの結婚と豊穣の女神ユノなどの祭りであるルベルカリア祭にささげるいけにえとして、処刑されたのです。2月14日はヴァレンティアヌスの殉教の日です。クリスチャンたちは、その死を悼みこの日を祭日にしたのです。
異説もあります。5世紀、ルベルカリア祭が若者の風紀を乱すため、ローマ教皇がそれを廃止し、替わりにバレンタインデーを創設したというものです。
現在のカトリック教会は、ヴァレンティアヌスの記念日を祝日から外しています。3世紀のローマ教会にはヴァレンティアヌスという名の司祭が複数いて、史実がはっきりしないという理由からです。しかし、東方教会は6月6日を、聖公会やルーテル教会は2月14日をヴァレンティアヌスの祝日にしているようです。その他のプロテスタントの教会で、この日を祝日にしている話は聞いたことがありません。ただ、クリスマスと同じように、伝道のために利用している教会はけっこうあります。
さて、バレンタインデーは女性からの愛の告白の日というのは、もちろん世俗的な風習です。「チョコレートの日」としたのも商業的発想ですね。目くじらを立てるほどのことでもありませんが、世に乗せられなくてもいいでしょう。
ただし、私は「チョコレートは怖い」です。本当です。