黒田投手のプロ意識

プロとは何か。決してカネをとるかとらないかではありません。プロとはむしろ、たとえおカネにはならなくても、全力を尽くし、常に最高のものを提供していくことです。そんなプロ魂を、いまやNYヤンキースのエースになった黒田博樹投手に見ました。

日本のプロ野球時代はストレートで勝負する投手でしたが、アメリカメジャーリーグに移ると速球では通用しなくなりました。ストレート中心の投球スタイルに固執するのか、それとも、勝利することに固執するのか。選択を迫られた黒田はストレート中心の投球を捨て、変化球に磨きをかける道を選びました。自分のやり方に執着し、打たれて負けてもそれでよしとするなら、引退するしかなくなります。黒田は勝利することを目指し、そのために一球一球を真剣に考え、配球を工夫することにしたのです。

黒田が試合中に一度だけ、審判に怒りを露わにしたことがあります。それは、投じたこれぞという一球に、審判がボールの判定を下したことから始まりました。黒田はマウンドを降りるとき、審判に不服のジェスチャーをとりました。そのとき審判が黒田に近づいて来て何かを言いました。黒田はその言葉に怒ったのです。審判は何と言ったか。「判定ミスはあの一球だけだろ!」

信じられない言葉でした。黒田にとって、どうでもいい投球は一球もないのです。彼は過去の対戦で、どの打者にどういう配球でどう打たれたかをすべて記録し、次の対戦ではどんな球をどう投げるべきか図式化した上で、投げている一球なのです。ただのひらめきで投げているわけではありません。それを「判定ミスはあの一球だけ」と審判が開き直ったことは許せないことでした。プロ意識がないのです。黒田は今年38歳、選手として決して若くはありませんが、成績はトップクラスです。プロ意識がなせるわざです。

クリスチャンの「プロ」意識とは何か。申命記6章5節に尽きると思います。