夜中に、手紙は書かない、大事な決断はしない、ということは、昔から言われてきたことです。光に乏しく、狭い空間で、周囲も相手が見えず、自分の中だけで気持ちが高ぶってしまうからです。夜の手紙や決断は、朝の光が届き、広い世界の中に自分を置いて、よく考え直してから行動すべきなのです。
しかし、パソコンやスマホなどが生活を占領するようになってくると、一日中が「夜」に似てきました。つまり、狭い空間でパソコンに向かい、周囲も相手も見えず、自分の頭の中だけで考え決めてしまうのです。スマホも、使っている時は自分の空間の中に閉じこもっているのですから、似たような状態です。
先週、ネットに尋ね人の広告を出し、特徴として体の一部にタトゥーを入れていると書き込んで、逮捕された事件がありました。尋ね人に見せかけた故意の中傷で、懲役6か月の犯罪となったのです。まさか逮捕されるとは思ってもいなかったことでしょう。閉ざされた空間で感情を高ぶらせ、即座に相手にメール送信したり、世に発信し(ネットに載せ)たりすれば、もう取り消せません。そして、とんでもないことになってしまうのです。
ネットの世界はバーチャルリアリティ(仮想現実)と匿名と閉ざされた空間でもあります。開放された空間で光に照らされて現実を見ることができないまま、思考し、判断し、決定し、行動に出てしまいやすいのです。テクニックでは利器を使いこなしているようでも、心は使われてしまっています。
主イエスの言葉に耳を傾けましょう。「だれでも、昼間歩けば、つまずくことはありません」(ヨハネ11:9)。パウロもこう言っています。「遊興、酩酊、淫乱、好色、争い、ねたみの生活ではなく、昼間らしい、正しい生き方をしようではありませんか」(ロマ 13:13)。自分の世界に閉じこもって考えず、自分を開かれた光の空間において考え、行動しましょう。