夫が珈琲の焙煎をするようになって、ハンドピックが私の仕事になりました。
炒る前の、生臭い生豆の中には「欠点豆」と呼ばれる、取り除かなければならないダメ豆がいます。0コンマ数ミリの虫食いやカビ、欠けや発育不良などの悪い豆を一粒でも残すと、全体にエグみや臭みが広がり、全てを台無しにしてしまうのです。しかも、手作業(この作業を「ハンドピック」と呼びます)でしか取り除くことができず、やってみると高価な理由がわかります。(安い珈琲のカラクリもわかる)
夫が珈琲の師匠に学ぶ時、私もくっ付いてハンドピックを学んだのですが、取り除く基準が難しい。コーヒーの豆は、原産地や品種によって色も形も様々で、一粒として同じものがありません。どれが欠点でどれが良いものなのか、判断がつかなくて迷います。
師匠のI先生に、コレはどうですか?と、一粒ずつ確認しては豆と睨めっこ。師匠が容赦無く捨てていく豆を見て学ぼうとするのですが、ダメ豆も同じものはなく、やっぱり迷う。
豆は量り売りですから、捨てるしかない欠点豆が多くなれば原価は上がります。でも、ケチってこれくらいいいか・・・と基準を甘くし、見逃す豆が増えれば、全体が不味くなる。捨てるか、残すか、良いのか、悪いのか・・・
明らかにカビていたり、腐っていたりする「わかりやすいダメ豆」はすぐ見つかり、カンタン、カンタン!と思うのですが、一通り取り除いて師匠に見てもらうと、やっぱりまだまだ全然ある。
一人でやるようになっても同じで、取り切ったと思った後に、隠れたダメ豆が見えてきます。まるでパン種。まるで私の中の悪。やってみると気づくことがあって面白い。
2〜3時間の単純作業は、考え事やお喋りをするのに心地よい労働で、私は好きになりました。牧会に似ているんだよ、と、楽しそうに珈琲と教会を語りながら、人生や教訓を教えてくれた師匠との時間が宝でした。人間らしい仕事だなぁと思います。
それにしても、焙煎する前の準備だけでこのこだわり。味を決めるのはそれだけではなく、一つの種でも品種は100種以上、「香りの可能性」は800種以上!炒り方、淹れ方、保存方法、数え切れない道具の種類・・・奥深い世界です。 礼拝後に夫が2階で珈琲を淹れています。1杯100円。2階でのみんなの時間が豊かになりますように!