ブラザー・ローレンス

英名ブラザー・ローレンス(ラウレンシオ、本名ニコラ・ヘルマン)は、17世紀のフランスの修道士です。若い時、30年戦争(1618~48)に参加し、負傷したことから、神の愛と復活を求め、カルメル会の修道院に入りました。そこの調理場で仕えますが、初めはその奉仕を嫌いました。しかし、「鍋もフライパンもすべてを支配される主よ。料理を作り、皿洗いをすることで、私を聖なる人にしてください」と祈り、礼拝堂よりも台所で神を礼拝することを学びました。
 私たちは多忙な生活の中で主との交わりをおろそかにしがちですが、ブラザー・ローレンスは、かえって多忙な仕事を主と親密になる場としていたのです。
彼はこう述べています。
「私は神を愛するゆえに、フライパンのオムレツを裏返します。それが終わり何もすることがなければ、床にふして神を礼拝し、オムレツを作る恵みを与えて下さったことに感謝し、そして、王よりも幸福な気持ちで立ち上がります。ほかに何もすることがないとき、神への愛で、一本のわらを拾い上げることでも十分です。
人はどのようにして神を愛するかと、その方法を探します。いろんな方法で神の臨在の中にとどまろうと労苦します。しかし、すべてのことを神への愛ゆえに行い、生活の必要を満たすべきあらゆる働きをとおして神に愛を示し、神と交わることで、もっとたやすく神の臨在を保てるのではないでしょうか。」
 ブラザー・ローレンスは、調理場にいながら、多くの修道士を励まし、また手紙を書いて慰め助けました。その書簡集は今日も読み継がれています。彼は調理場で「祝福の源」となったのです。彼もまた、アブラハム契約の祝福を継承していたといえます。
 『敬虔な生涯(ふだんの生活の中におられる神)』(CLC出版)、『神の現存の体験』 (ドン・ボスコ社)、『神の聖前に在る修練』(教養文庫)。