ペルセポリス

イラン革命下で成長する少女の自由と葛藤を描いた自伝的アニメ映画で、鑑賞が禁止されている国もある。そんな前置きで、現在のイラン情勢もあり、どうしても観ておきたい映画でした。誰にでも勧められるような気持ちの良い作品ではなく、答えの無い後味の苦さがリアルで、生々しい映画でした。かわいそうな人を憐れむ気持ちで観ると、平手打ちをくらいます。

というわけで、安易には勧めませんが、以下ネタバレを含みますのでお気をつけて。

ペルシャ人の誇りやアイデンティティを知らない私は、嗅いだことのないスパイス料理を口にしたような気分でした。消化できるのか・・・共感しきれない異国の空気に触れました。他者について、聞こえてくるものだけで勝手なイメージを作っているのだと反省しています。イランについても「イスラム政権の圧政はひどい、ハメイニは悪い、亡命している王様が戻ったほうが良い」と考えていたのですが、脳みそを揺さぶられました。

民主化すべき?西洋化したほうがいい??キリスト教国の方が良い???

本当か?私が、与えたいと思っているものは、見下した善意ではないのか?

自分の中にある汚いものを無理やり直視させられる感覚。愛のない押し付け、ありがたがれと要求する優しさ、いい人でありたいだけの偽善と達成感。自由と選択肢を山ほど見せて、責任は取らない。選んだのはあなたでしょ?愚かなのはあなただ。

少女がパリへ留学し、西洋思想・哲学・政治思想に触れ、本を読み、人と関わった末に、「唯一わかったのは、わかり合えないという事実だった」と言います。彼女の体験する西洋の自由は、歪んでいて醜く、不満を言うだけ、汚いものを見ないだけの、愛の壊れた社会でした。そうして、彼女は、一度祖国に帰ります。自由のない国へ。圧政と貧しさの不自由な国・・・命の価値が等しくない祖国へ。

彼女は不満を言うだけで、いつまでも被害者のまま、逃げるだけ。愚かで・・・私と同じでした。

同じ中東で、対照的な国づくりをする国を知っています。国の崩壊や迫害、絶望を幾度も経験し、神や敵、環境を恨んでも正当と思えるような状況で、良い未来を信じ、命を選び、望みを持ち続け、恨むことなく耐え、自ら戦って自由を勝ち取り、その自由で家族を愛し、国を愛し、建てあげる人たち。 彼らは確かに、ハバククやヨナの子孫なんだなぁと思います。