在日韓国人の故つかこうへいさん(本名・金峰雄キム・ボンウン)さんが生前、「人間の業(ごう)というか、こういう難しい問題は、自分の娘に語るような優しい口調で一つひとつ説いていかなければ伝えられない。人は、人を恨むために生まれてきたのではない。歴史は優しい穏やかな目で見るべきではないか」と語っていたそうです。
日本生まれの二世で、屈辱的な差別を受けたはずの人の口から、こんな言葉が出たとは驚きです。在日のつか氏だからこそ言えたのでしょう。この言葉に韓国の人はどう反応するだろうかと思います。日本人が同じことを言えば、激しい反発が返ってくることでしょう。
近年、歴史問題で韓国では反日感情が高まり、逆に日本でも反韓、嫌韓感情を持つ人が増えてきました。「人は、人を恨むために生まれてきたのではない。歴史は優しい穏やかな目で見るべき」というのは、私たちも噛みしめるべき言葉だと思います。
さて今日は、真珠湾攻撃・日米開戦68周年の日です。4年近く太平洋で激しい戦いを繰り広げました。日本には日本の言い分がありました。アメリカにはアメリカの原爆投下の理屈がありました。しかし、ペリー来航(1953年)から今日までの日米の歴史を、「優しい穏やかな目で」振り返るべきだと思います。
私たちの人生もそうです。だれしも傷つき、人を恨んだことがあります。自分も罪人、相手も罪人。双方に、それなりの事情と悲しみと理屈があったのです。人生のあの場面、この場面を、「優しい穏やかな目で」見つめ直すといいと思います。赦す心が生まれます。赦されたいとも思うことでしょう。過去から解放されます。
「私たちにはキリストの心があるのです」(Ⅱコリ2・16)。今の相手がどうであれ、私たちは柔和で寛容な主の心で振り返ってみませんか。