中東のキリスト教徒が、イスラムの迫害を受け、欧米を目指して、次々祖国を脱出しているという報道がなされています(朝日新聞10/10/23など)。イラクでは、異教徒を敵視するアルカイダ系テロ組織が、同国少数派であるキリスト教徒に対する爆弾テロ、暗殺、誘拐が相次ぎ、03年には80?140万人いたキリスト教徒が50?60万人にまで減ったとされます(米国務省「信教の自由に関する報告書」09年版)。「異教徒との戦いを終わらせるまで、そしてアッラーがすべてとなるまで戦え」(8・40)というクルアーン(コーラン)の教えをそのまま実行する原理主義者が、政治的危機を背景に勢力を増しているのです。
また、日本の一般メディアではほとんど報道されませんが、イスラム原理主義者によるクリスチャン迫害は、中東だけではなく、インドやインドネシアでも広がり、多くのクリスチャンがテロで殉教し、追放されていることが、キリスト教系メディアや宣教師たちによって伝えられています。
ヘブル書はこう命じます。「牢につながれている人々を、自分も牢にいる気持ちで思いやり、また、自分も肉体を持っているのですから、苦しめられている人々を思いやりなさい」(13・3)。私たちも、キリスト信仰のために、家族、祖国、財産、生活の場を失い、命の危険にさらされている人々のことを思いやりましょう。クリスチャンは迫害されてその信仰を新たにし、殉教者を出して逆に数を増やしてきたという歴史があります。しかし、今、私たちは迫害も殉教もほとんどない国に生きています。そんな国にあって信仰が生温くならないためには、迫害されている兄弟姉妹を「自分も牢にいる気持ちで思いやる」ことです。
それぞれ「思いやる」ことを具体的に考えて実行してみてください。空腹を味わいながら祈ること。理不尽な扱いに忍耐すること、悲しみに負けないで人を赦すこと、辛くても今なすべきことを誠実になすことなど、迫害されている人のことを思い、一つでも実践しましょう。また、私たちはキリストに倣う者ですから、迫害者のためにも祈りましょう。