びびらない

「嫌な話ですが、いまや世の中全体が相手を不安にさせ、びびらせることで回っているという現実があります」。佐藤優さんが最近の著書『人に強くなる極意』でそう書いています。国際関係も人間関係も相手を脅して思い通り動かそうとしているとしか思えませんし、コマーシャルもびびらせて商品を買わせようとしているようです。

そんな商品宣伝のキャッチコピーを拾ってみました。「〇〇歳からでは遅すぎる」(真に価値あることを学ぶに遅すぎることはありません)、「〇〇が不足すると老化が早くなる」(不足しても若い人がいる)、「宿便は万病の元」(宿便などというものはないと聞きました)、「夫の血圧が130を越えた。心配だわ」(130なんて、そんなに心配することはないそうです)、「水道水に発がん物質」(ほとんど影響なしだそうです)、「老後の備えには3000万円は必要」(うまい話に乗ったら今ある貯蓄も騙し取られます)、「女性の90%が男性の体臭が気になるといっています」(ああ、そうですか。女性だって)。

最近、『心配事の9割は起こらない』という題の本が店頭にならんでいます。言い古された内容ですが、無用な思い煩いをする人が多いということでしょう。

イザヤ書7章に、エフライムにアラムが同盟してユダに攻め込むという報告が届き、「(ユダの)王の心も民の心も、林の木々が風で揺らぐように動揺した」という話が出てきます。主に遣わされた預言者イザヤは、王にこう言います。「気をつけて、静かにしていなさい。恐れてはなりません。・・・そのことは起こらないし、ありえない。」そのとおり、ユダには何も起こりませんでした。起こらないことにびびっていてはならないのです。

聖書は、「恐れるな」と繰り返し命じます。聖書が「恐れよ」と命じるのは主に対してだけです。また、主の怒りや、迫っている大変動についてです。びびらなくてもいいことと、恐れるべきことを、はっきりと区別しておきましょう。