クリスマスの祈り

クリスマスは、神が人となって来られたという歴史的出来事を記念し、感謝し、お祝いする時です。

この世界と人間を造られた神が超自然的なことをなさるのは、別段不思議なことではありません。そこに住む人間にはできないことが神にはできるのは、当然のことです。もちろん、それだけでも私たちにとっては驚きであり奇跡です。しかし最大の驚きは、その創造主なる神キリストが、ご自分の造られた世界に、人となって入って来られたということです。パウロがそのことをこう記しています。

「キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。人としての性質をもって現れ、自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われました。」(ピリピ2・6-8)。

目には見えない霊なる方が弱い肉体をまとわれました。永遠なる方が時間の中に、無限なる方が有限な空間の中に入って来られました。全能なる方がその能力を制限し、無力な人間のなすがままになられました。神が自己否定し、無に等しい者になられたのです。それは、私たち人間を罪から救い出し、永遠のいのちを与えるためでした。これ以上はありえない奇跡、もはや奇跡とさえ言えないほどの恵みの出来事です。

カール・バルトという神学者が、それを端的な祈りで表現しています。

「主なる神よ。あなたは私たちを高く引き上げるために、御自分を低くし、へりくだられました。あなたは、私たちが豊かになるために貧しくなられました。あなたは、私たちがあなたのみもとへ行けるように、私たちのもとに来られました。あなたは私たちに永遠のいのちを受けさせるために、私たちと同じ人間になられました。これらすべては、私たちには受ける資格のない、あなたの自由な恵みによってなされたものです。これらすべては、あなたの愛する御子、私たちの主、救い主であるイエス・キリストにおいてなされたことです。アーメン。」