旅客機の乗客が、頭上の荷物入れやアームレストを巡って争ったり、殴り合いに発展したり、客室乗務員を怒鳴りつけたりの騒ぎを引き起こす話をときどき耳にします。
ファーストクラスがある旅客機の場合、エコノミークラスの乗客が騒ぎを起こす確率は、ファーストクラスがない旅客機の3.84倍。搭乗する際にファーストクラスの区画を抜けてエコノミークラス区画に入った乗客が騒ぎを起こす確率は、直接エコノミークラスに入った場合の2.18倍。そんな研究をしたカナダ・トロント大学キャサリン・ディセレス准教授は、「人は貧しさや不平等を感じると行動に出る傾向が強まる」と解説しています。
ファーストクラスの乗客が騒ぎを起こす確率は、全乗客がファーストクラス区画を通って搭乗した場合、ファーストクラスとエコノミークラスでそれぞれ別の入り口がある場合に比べて、ほぼ12倍になるそうです。「社会的に高い地位にある人が自分の地位を意識すると、反社交的で高慢な態度になり、思いやりが薄れる傾向がある」と同教授は分析しています。国際便だけでこんな騒ぎが、数年で数千件起きているそうです(160503CNN)。
都会はコンクリートの壁に挟まれて、人が密集し、開放感がなく、ストレスの溜まりやすい世界です。空に舞い上がっても、もっと狭い空間に閉じ込められてしまいます。もともと狭い人間の心はさらに圧縮されて、ますます狭くなるのかもしれません。
それは、バスや電車などの閉じられた空間でも起こることです。いや、電車内はさらに不快なことを見せられ、聞かされます。「今日は心が狭くなるかもしれないなぁ」と感じたら、バスや電車を待つ間、礼拝で月一斉唱する第一コリント13章か、詩篇23篇、あるいはガラテヤ5章22、23節の「御霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、柔和、自制」を唱えてみてはいかがでしょうか。「私は世界を祝福する者である」という心構えを整え直すのもいいと思います。