従うべきリーダー

先日、熱で休んでいた時に「吾妻連峰雪山遭難事故」という動画を見た。1994年2月11日からの三連休に吾妻連峰へ出掛けた7名の登山団体の遭難事故のドキュメンタリーだった。とても衝撃的で、強く印象に残る内容だった。

 団体のリーダーは、この登山の計画を半年ほど前から立てていた。しかし、登山には欠かせない道具の1つであるラジオを持ち物リストに入れていなかった。リーダーは登山歴30年、山岳ガイド資格所有者であり、参加者6名も登山経験者であった。

 旅は最初からトラブル続きだった。初日の朝、乗る予定だった新幹線が満席、遅れて到着した福島駅でも、荷物が多くてタクシーに乗れず、急遽バスをチャーターし30分の待ち時間が発生した。タイムロスを挽回しようと、リーダーは運転手に、当初の計画であったスキー場入り口ではなく、極力、登山道入り口の近くまでバスを走らせてほしいと願った。運転手は路面凍結の可能性を考え、リーダーを説得したが、リーダーは折れなかった。しかし、やはり路面凍結しており、1kmほど進んだ場所でバスが走行不能になってしまい、結局スキー場入口まで歩いて戻ることになった。さらに、スキー場のリフトの半数が強風で停止しており、動いていない区間は歩いて移動した。そのため、リフトの乗り口で提出する登山者カードを提出しなかった。これにより、後の捜索が大幅に遅れてしまう。

ようやく初日の目的地であった小屋に到着したものの、休息をとらずにすぐに宴会を始めた。その夜、太平洋側が大雪になる可能性があるとラジオで報じていた。しかし、そうとは知らない一行は翌朝の一時的な晴れ間に安心して、吾妻連峰へと歩き出した。予報通り天気は午後から急変し、吹雪が始まった。この影響で、目的地が見つからず、猛吹雪の中6時間以上さまよった。この後3日間を雪山で過ごし、最終的に5名の犠牲者を出した。 この事故すべてがリーダーだけの責任という訳ではないだろうが、どんなに優秀でもこの世のリーダーは間違いを犯す。しかし、私たちにはイエス様という、間違いを犯さない絶対安心のリーダーがいる。その事を覚えて、もっと色んな事を委ねて行きたい。(北尾真徒)