4.捨てなければ救われない
1)人は「捨てる」ことで救われます
それを象徴的に語っているのが、パウロら一行が地中海で「ユーラクロンという暴風」に巻き込まれた事件です。「私たちは暴風に激しく翻弄されていたので、翌日、人々は積荷を捨て始め、三日目には、自分の手で船具までも投げ捨てた。・・・十分食べてから、彼らは麦を海に投げ捨てて、船を軽くした。・・・錨を切って海に捨て、同時にかじ綱を解き、風に前の帆を上げて、砂浜に向かって進んで行った」(使 27・18、19、38、40)。何と最後は「錨」まで切って捨て、一行276全員が助かったのです。多くのものを囲いこんだり背負ったりして、その重さで沈むことがないように、捨てるべき時は捨てましょう。人は多くのものを持ちすぎるのだと思います。持っているものが、救いには役に立たず、逆に妨げになっているのです。
しかし、単に、捨てて身軽になりさえすればいいということでもありません。捨てるのは、捨てたもの以上のものを得るためです。
2)キリストのために自分を捨てることで、永遠のいのちを得ます
私たちが地上のものを捨てるのは、永遠のものを獲得するためです。
ペテロら猟師たちは、キリストに召されたとき、すぐさま生業道具である網を捨てて、キリストに従いました(マタ 4・20)。それゆえペテロは主イエスにこう訴えています。
「ご覧ください。私たちは、何もかも捨てて、あなたに従ってまいりました。私たちは何がいただけるでしょうか」。主はそれに対し、こう答えておられました。「また、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、あるいは畑を捨てた者はすべて、その幾倍もを受け、また永遠のいのちを受け継ぎます」(マタ 19・27、29)。
実際、ペテロらは自分の持つすべてを捨てて、永遠のいのちを得たのです。しかも、一旦捨てた家族を永遠に取り戻し、加えて主にある多くの兄弟姉妹を得ました。逆に、執着・恋着・愛着して捨てられないなら、最終的に、その手放さなかったものを永遠に失うことになります。