ナザレのイエスは単純な人生を送られました。学校には行かれず、政治活動をなさらず、商売もなさらず、結婚もなさらず、家もお金も物も持たず、国外への長い旅はせず、複雑な関係も作らず、最後の３年間はホームレスのような生活で、短い人生を送られ、刑死されました。それにもかかわらず、歴史を自分以前と自分以後（BCとAD）に分けられ、多くの人々の人生を新しくし、人類史で最も影響力を及ぼし、今日の世界で最も有名な方になっておられます。本は一冊も執筆なさらなかったのに、ご自身については数え切れないほどの書物が書かれ、映画やドラマが上映され、毎日世界中でほめたたえる歌が繰り返し歌われています。
キリストに倣う者となりなさい、とパウロは命じます。「私がキリストを見ならっているように、あなたがたも私を見ならってください」（Iコリ11･1）と。それゆえ、キリストの単純で力ある生き方にも倣いたいと思います。
私たちは、学校へ十数年も通い、多くの知識を持ち、家庭も持ち、家も車も服も、その他多くのものを所有し、飛行機に乗って世界のあちこち旅をし、多くの本を読み、コンピュータや携帯電話などの情報源や伝達手段も活用しています。しかし、影響力は小さいものです。これ以上多くのものを所有し、生活を複雑にするより、キリストやパウロのように、シンプルになっていくべきなのだと思います。私たちが信仰生活をシンプルにすればするほど、神の力が働きやすくなるに違いありません。
一度、自分を振り返り、目に見えるものでも、見えないものでも、不要なものを思い切って取り除きませんか。まず、心をシンプルにしましょう。キリストだけを慕い、キリストの栄光だけを求めるようにしましょう。神と富とに兼ね仕えるなら、どうしても人間関係も社会生活も複雑化します。この世への欲や人への妬みをそぎ落とすのです。そうすればもめ事に巻き込まれにくくなります。
神の言葉だけに信頼し、聖霊の助けを求め祈るという単純な生活の枠組みをしっかり組み立てましょう。御言葉の単純な実践が大きな力を生み出すと信じます。